梅雨のジメジメした季節になると食中毒の話題が多くなりますが、食中毒は夏場に限らず、1年を通して感染する可能性があります。食中毒とは、ウイルスや細菌が付着した食品を食べることによって、急に腹痛や嘔吐の症状が現れることを指します。
食中毒で最も知られ、また恐れられているのが、O-157です。食中毒を起こすウイルスにも強弱がありますが、O-157は強力な毒性を持っていることで知られています。
O-157のように強力な毒性であれば、幼児や老人は命の危険にさらされます。また、成年であっても免疫力が低下していれば同様の危険がありますので、食中毒には十分な配慮が必要です。O-157の場合は、感染して数日後に血便や激しい腹痛(出血性大腸炎)を引き起こします。また、血液中にも毒素が取り込まれ、溶血性尿毒症症候群(急性腎不全・溶血性貧血や急性脳症につながる恐れもあります。
食中毒を防ぐには、とにかく清潔を保つことを心がけることです。その為には手洗いと衛生管理が重要です。
手洗いは食中毒だけではなく、風邪やインフルエンザの予防にも有効なことでお分かりのように、衛生を保つには不可欠です。食べる側も作る側も、爪や指の間まで細かく洗うように心がけましょう。
殺菌効果のあるジェルや、アルコールを手洗いの後に使用するのも効果があります。外出時など、手が洗えない、水道はあっても石鹸がない場合などは、これらを使用すると良いでしょう。小さいお子さんとの外出時には、バッグにしのばせておきましょう。
また、台所にある調理道具をこまめに消毒することも重要です。特にまな板、タオルなどは雑菌が多く繁殖しますので、こまめに消毒することが必要です。
そして、夏場に特に気をつけなければいけないことが生食です。日本人は魚など生食する習慣があります。夏に旬を迎える魚も多くありますし、生食するのは当たり前になっています。しかし、夏場では、冷蔵庫にすぐ食品を入れなかったり、次の日も生食することなどで細菌が繁殖してしまいます。
おさしみなどは、テーブルに長く放置しないように気をつけましょう。少し古くなった食品は加熱して食べる、生食は極力避けるなどの工夫が必要です。特に気をつけて欲しいのが牛肉です。牛の糞からO-157が検出される事もあり、その肉に菌が付着している場合があります。O-157は加熱すると死滅しますので、肉はしっかりと加熱調理してから食べるのが安全です。
腹痛、ひどい下痢、血便、嘔吐などが起こった場合は、2日と待たずに必ず医者にかかるようにしましょう。このような状態で一番怖いのは脱水状態です。とにかく水分を取るようにしますが、嘔吐がある場合は、口からの補給は難しいので、点滴が必要になります。小さい子供などはすぐに脱水状態になってしまいますので、早めに病院へ行くようにします。
また下痢止めは、菌の排出がされなくなってしまいますので、逆効果です。菌が体外へ出ず、病状が深刻化する事もあります。